1. 何のための仕組み?
地下は、実際に掘るまで直接は見えません。しかし、すべての候補地を同時に掘るのは高価です。
候補を作る
地層、地盤の硬さ、硬い層の深さについて、ありそうな姿を示します。
迷いの大きさを示す
1つの断定値ではなく、予測の幅や別の候補も一緒に出します。
次の調査を決める
不確実性が大きい場所を見つけ、現地調査の優先順位づけに使います。
2. 何を材料にする?
主な材料は、過去の公共工事などで地面を掘ったときの記録です。
ボーリング柱状図
どの深さに砂・粘土・れきなどがあり、地盤がどれくらい硬かったかを縦長に記録した資料です。
地形・地質の情報
平地か山地か、どの地質区分に入るかなど、場所どうしの似ている度合いを考える補助材料です。
位置と業務のまとまり
緯度・経度と、同じ工事で作られた記録のまとまりを使い、評価時の「答えののぞき見」を防ぎます。
3. どう予測する?
地点を入力してから結果が出るまでを、5段階に分けると次のようになります。
場所を入力
緯度と経度で、新しく知りたい地点を指定します。
安全ゲート
監査済み6地域の中にあり、かつ正式な記録が1km以内にあるかを先に確認します。
参考にする近隣記録を選ぶ
距離に加え、地形・地質やデータの役割を見て、使える記録だけを集めます。
項目ごとに予測
地層、N値、支持層は性質が違うため、それぞれに検証済みの方法を使います。
候補と不確実性を表示
中央値だけでなく、予測区間、確率、データがない深度も表示します。
4. デモ画面の見方
- 監査済み地域の中にある
- 正式な記録が約920m先にある
- 1km以内なので予測へ進む
- 今回の6地域の外にある
- 近くに今回使える正式な記録がない
- 数字を作らず、理由を表示して止まる
デモの小さな色付き地図は、正式な記録までの距離を250m四方のマスで集計したものです。地層図や危険度マップではなく、個々のボーリング位置も表示していません。
5. 札幌30mの例を読む
デモに固定表示している実際の予測標本を、初心者向けの言葉に置き換えます。
0.5〜8.0mは「れき」が最有力で48%。80%候補には砂と粘土も含まれます。
読み方: れきと断定はできません。深さ7.5m分だけ出ており、それより深い地層は「記録不足」です。
5つの深度だけに予測があります。例として5.25mは中央値42、予測区間28〜58です。
読み方: 中心は42ですが、実際にはかなり上下し得ます。50以上になる推定確率は22%です。
定義上の支持層深度は中央値8.0m、予測区間0〜18.7mです。
読み方: 「必ず8m」ではありません。幅が大きいため、現地調査で確かめる価値が高い地点です。
6. 用語をやさしく
| 用語 | このデモでの意味 |
|---|---|
| ボーリング孔 | 細い穴を掘って、地下の状態を調べた地点です。柱状図は、その結果を深さ方向に並べた記録です。 |
| JIS9 | 土の種類を9桁のコードで統一して表す形式です。表記ゆれの少ない「正式な地層記録」として扱います。 |
| N値 | 標準貫入試験で得られる、地盤の締まり具合や硬さの目安です。一般に大きいほど硬い傾向がありますが、それだけで安全性は決まりません。 |
| 支持層 | このシステムでは「N値50以上が連続する最初の深さ」と機械的に定義した目安です。設計者による支持層判定そのものではありません。 |
| 中央値 | 予測の候補を小さい順に並べたときの真ん中です。「正解が必ずその値」という意味ではありません。 |
| 80%予測区間 | 同じような予測を何度も行ったとき、実際の値がその範囲におよそ8割入るように調整した幅です。このデモで確認できた実績は約77〜81%です。 |
| 欠測 | 必要な記録がなく、値を出せない部分です。0ではなく「分からない」を意味します。 |
7. 精度の読み方
方法を評価するときは、答えを隠した孔を予測し、単純な方法と比べました。項目ごとに結果が違います。
単純な近隣法より、最有力の土質分類が正解した割合が平均2.7ポイント上がりました。
深さの平均的なずれが、単純な方法より2.07m小さくなりました。
検証対象の工夫は単純な近隣法よりRMSEが0.96悪化。N値は改善済みとせず、参考分布として表示します。
8. できること・できないこと
できること
- 調査前の地盤仮説を作る
- 不確実性の大きい地点を見つける
- 次のボーリング調査の優先順位を考える
- 監査済み範囲外では安全に止まる
まだできないこと
- 地盤調査や専門家の判断を置き換える
- 全国どこでも予測する
- 建物の基礎形式や安全性を確定する
- すべての深度に必ず値を出す
「社内限定MVP」とは?
価値を試せる最小版ですが、使い方・地域・利用者を限定して運用する段階です。チームデモはGO、社内利用は条件付きGO、外部向け本番提供はHOLDです。
1km以内なら、必ず正確ですか?
いいえ。1kmは予測を始めてよい最低条件です。地下は近距離でも変化するため、結果の予測区間と欠測を必ず一緒に見ます。
なぜ全国対応にしないのですか?
未知地域でも同じ精度が出る証拠がまだ足りないためです。現在は、データと評価がそろった6地域だけを受付対象にしています。
9. 1分で紹介するなら
この3点を伝えれば、デモの意図が分かります。
- 「過去のボーリング記録から、新しい地点の地層・N値・支持層の仮説を作ります」
- 「結果は断定値ではなく、候補と幅で出します。記録が足りなければ出しません」
- 「目的は調査をなくすことではなく、次にどこを調べるかを決めやすくすることです」